変形性脊椎症の手術後の不安を解消!リハビリで痛みと不安に立ち向かう
2023.03.28
椎間板ヘルニアが青壮年の病気なら、骨粗しょう症や変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)は高齢者の背骨の病気といえます。特に高齢男性に起こりやすいといわれていて、老化現象の一つなので50歳を過ぎればほとんどの人に見られます。最初は無症状の場合が多いですが、進行すると痛みが出てきます。
変形性脊椎症は、高齢者なら誰でも発症する可能性があるので、日常生活でも気をつけて行動することが大切です。そして実際に変形性脊椎症が起こっても、痛みの原因や対処方法を知っておくことで合併症を防ぐことが可能です。
今回は、変形性脊椎症の特徴やリハビリなどの治療法について紹介します。
目次
変形性脊椎症にリハビリが効くの?合併症にならないために
変形性脊椎症は、無症状の人も多いですが、放置しているとさまざまな合併症を引き起こす可能性が高いです。変形性脊椎症の特徴やなりやすい人について知っておくことで予防に役立つでしょう。
症状が進むと慢性的な痛みも|変形性脊椎症
変形性脊椎症は、経年的変化による脊椎骨(背骨)ならびに椎間板(背骨の骨と骨の間にあるクッションのようなもの。椎間板があるおかげで背骨がしなやかに動かせます)の変性・変形した状態のことをいいます。
加齢とともに、椎間板のクッション性が失われ、骨同士がぶつかり合って、骨が変形してトゲができてしまいます。このトゲが脊椎を走る神経を刺激して「変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)」の主な症状である背中の痛みとなるのです。
トゲができているだけの場合は、無症状の場合が多いので、変形性脊椎症の治療の必要はありませんが、疼痛に対しては、コルセットを装着して安静にしたり、リハビリなどの治療を行います。
スポーツ選手も|変形性脊椎症になりやすい人
変形性脊椎症は、基本的には加齢に伴うので高齢者に多く見られます。また、肥満の方や長期の重労働を行っている方、激しい身体のぶつかり合いを繰り返すスポーツ選手は、無理のある姿勢で長時間作業や運動をすることが多いので腰や首に日常的に負担がかかることで変形性脊椎症にかかりやすくなっています。
放置すると合併症を併発するかも…
無症状の場合も多い変形性脊椎症ですが、変形が進んで高度になると、椎間板の変性による椎間の狭小化から、慢性の渦痛や可動域制限が生じます。
神経根(神経の本幹である脊髄から左右に分かれる細い神経)を圧迫して神経根症状を生じたり、変形による骨棘などによって脊髄の通り道が狭くなり脊柱管狭窄症などの合併症を併発することもあります。
また、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)を併発してしまうと、長い距離を続けて歩くことができなくなるので、変形性脊椎症のリハビリにも支障がでてしまうでしょう。
変形性脊椎症ならリハビリが効果的!検査方法や治療法を紹介
変形性脊椎症は、無症状の場合もありますが、症状があらわれた場合の検査の仕方やどのような場合に手術が行われるのかについて見ていきましょう。
検査はエックス線やMRIなど
エックス線(レントゲン)検査で、椎体に骨棘ができているか、椎間板のクッション性が失われていないかなどの変化を確かめます。
手足のしびれや動かしづらさ、痛みが続くなど、神経が圧迫されていると疑われる症状が出ているときは、MRI検査で腰部脊柱管狭窄症を併発していないかどうかなども調べます。
動きによって神経を圧迫している場合に行う、脊髄に造影剤という薬液を入れて神経の通り道を一時的に見やすくしてレントゲンを撮影する脊髄造影という検査もあります。
基本的には保存療法を行う
椎間板などの変化が進み、神経が圧迫されることによる痛みなどが生じた場合、痛み止めによる疼痛コントロールやコルセット装着による局所の安静、神経ブロック注射(痛みを感じている神経を遮断する)などの保存療法が行われます。
また、患部を温めて血流を促進することで筋肉をほぐす温熱療法や、変形性脊椎症のリハビリとは別の姿勢を正す理学療法を行う場合もあります。
変形から生じる疾患は、一定の期間が過ぎると症状が落ち着くこともあるので、待つことも大切ですよ。
手術を提案される目安
保存的治療を続けても症状が悪化していく場合は、骨の変形している部分を切除するなどの手術が検討されますが、排便排尿障害や脊髄症状になっていないなら、必ずしも手術を急ぐ必要はありません。
腰部脊柱管狭窄症や頸椎性脊髄症などを合併している場合は、それぞれの病気に応じた治療を行います。患者さんの年齢や生活スタイルにより求めるものが違うので、それに応じて手術をするかどうか、変形性脊椎症の手術後のリハビリを行うかを検討する必要もあります。
骨の状態によって変わる|変形性脊椎症の手術療法や注意点
変形性脊椎症の手術がどのようなものかを知って、手術後の生活での不安を減らし、安心して普段の生活に戻れる準備をしておきましょう。
大きく分けて3パターン|手術の種類
変形性脊椎症の手術は、大きく分けて3パターンあります。
骨が比較的安定している場合は、神経を圧迫している組織を取り除いてよりよい環境にする除圧術が行われます。
また、骨の変形や異常な動きにより、神経の圧迫や異常な骨の並びが起こっている場合は、人工の椎間板や椎骨などに入れ替え、スクリュー(ネジ)を使って固定する固定術、除圧と固定を両方行う場合もあります。
体への負担について
従来の固定術は、大きく切開して直接患部を見ながら行っていましたが、最近では、顕微鏡やナビゲーションシステムなどを使って、立体的に把握しながら最小限の創でスクリューをつなぐ固定術がよく行われるようになりました。
筋肉の損傷や骨を削る量が少ないので、変形性脊椎症のリハビリに早く移行できるなど身体への負担も大幅に減らせます。
手術後のリハビリや注意点
変形性脊椎症の手術後リハビリは、身体に負担をかけない歩き方や姿勢、低下した筋力を高めるために行われます。股関節や膝関節の可動域を広げる訓練により、首や腰などにかかる負担を分散することもできるでしょう。
また術後は、スクリューで不安定な脊椎を矯正して固定しているので、術前と身体の状態は全く別になっていると心構えをしておきましょう。
背骨を支えるスクリューは、身体の動きに沿うわけではないので、固定された状態での身体の使い方を覚える必要があります。
固定された状態での身体の使い方が悪いと、5〜10年ほどで脊椎に支障をきたすケースもあるので、数ヶ月に1回程度は、医師に器具の状態や身体の使い方を確認してもらうと良いです。
まとめ
変形性脊椎症の治療法やリハビリ後の注意点について紹介しました。
近年の医療の発達により、症状が軽い場合は、できるだけ手術を行わない保存療法で対処でき、手術するとしても小さい創だけで身体の負担をできるだけ軽減して手術してもらえるようになっています。
症状を感じたり「おかしいな」と思った場合は、早めに医師に診断してもらって早期解決を目指すのがおすすめですよ。腰や背中の痛みから開放され、残りの人生を安心して過ごせるものにしてみませんか。