変形性膝関節症悪化の原因は?間違ったリハビリと手術の危険性を徹底解説
2022.12.27
膝に感じるこわばりや痛みを軽減できていますか?変形性膝関節症の治療法の一つであるリハビリは、適切な方法で行うことで改善の効果を得られます。
しかし、間違ったやり方や過度な負担は、膝の症状改善に効果を発揮しません。そればかりか、炎症を引き起こす原因や症状の悪化を促進させてしまう可能性があります。
今回は、変形性膝関節症の間違ったリハビリに注目し、日常生活で注意すべき動作や手術の危険性について解説します。変形性膝関節症の改善を目指して正しいリハビリを行い、手術の危険を回避できる生活を送れるようにしましょう。
目次
変形性膝関節症の進行する症状とリハビリの関係性について
変形性膝関節症の症状は、「初期」「中期」「末期」の3段階に分けられて診断されます。身体に現れる症状と進行度は、個人差もあり必ずしも一致するものではありませんが、一つの目安として知っておいて損はないでしょう。
変形性膝関節症とはどんな病気?原因は?
変形性膝関節症は、膝関節のクッションの役割である軟骨がすり減って炎症を起こし、痛みなどが現れる病気です。症状の特徴の一つとして、膝に水が溜まるといった状態があげられます。
変形性膝関節症の原因は、膝軟骨のすり減りですが、すり減りが起こる原因はさまざまです。考えられる原因は、「肥満」「老化」「遺伝」に加え「女性ホルモン」「筋肉量」があげられます。
変形性膝関節症で感じる症状の特徴
変形性膝関節症の症状は、下記の通りKL分類(Kellgren-Laurence分類)で診断されるのが一般的です。
・KL-1【疑い】
骨棘(こっきょく)または軟骨下に骨硬化が見受けられ、変形性膝関節症が疑われる状態。
・KL-2【初期】
骨の変形はなく、わずかに骨棘の形成を確認できる。膝関節の隙間に若干の狭小が見受けられる状態(25%以下)。立ち上がりや歩き始めといった膝を使った動作の最初に痛みを感じます。ただし、動作を続けていると徐々に痛みは和らぎます。
・KL-3【進行期(中期)】
骨棘の形成や骨硬化がはっきりと確認できる。膝関節の隙間が半分以上に狭小した状態(50〜70%)。動作中に継続して痛みを感じ歩きづらくなります。膝の内側やO脚になるといった症状が現れます。
・KL-4【末期】
大きな骨棘が形成され、骨の変形も編著に認められる。膝関節の隙間の狭小が進行した状態(75%以上)。動作中だけでなく、安静時にも痛みを感じるようになります。
また、中期以降の症状として、膝の曲げ伸ばしや正座が出来ないなどの可動域を制限された感覚が顕著に現れるのも特徴の一つです。
変形性膝関節症とリハビリの関係
変形性膝関節症の症状悪化を防止するための治療法として、薬物治療とリハビリによる運動療法があります。
リハビリでは、膝軟骨のすり減りを減らし膝関節を守ることを目的に、適正体重の維持と筋力向上を目指します。
しかし、痛みを伴う場合や間違った方法でのリハビリは、逆効果になりますので症状や状態に合った適切なリハビリを行うようにしましょう。
変形性膝関節症の間違ったリハビリと悪化を防ぐために注意すべき動作
自主的にリハビリを続けているけど、効果を実感できていない方は、間違ったリハビリを行っているかもしれません。注意が必要です。
間違ったリハビリの悪い例
変形性膝関節症の方が行うべきではない間違ったリハビリは下記の通りです。
・膝に負荷のかかる過度なリハビリ
・痛みを我慢して行うリハビリ
・間違ったフォームや方法でのリハビリ
・急な動作を伴う運動のリハビリ
上記のようなリハビリは、変形性膝関節症の方には適していません。
例えば、スクワットやウォーキングは正しいフォームで行う必要があり、やり過ぎてしまうと逆効果になります。さらに、急に動いたり止まったりする動作は、膝に大きな負担を与えます。日常生活でも踏み込む動作や切り返すなど、膝をひねる動作は避けた方が良いでしょう。
悪化防止!注意すべき動作とは
変形性膝関節症は、とにかく膝への負担を減らすことが重要です。
そのためには、日常生活において何気なく行っている動作も避けた方が良いものがあります。
例えば、重いものを運んだり、和式トイレや布団で寝たりなど膝を深く曲げる動作はおすすめしません。また、膝を曲げなければいいといった訳でもなく、立ちっぱなしや安静にし過ぎることも良くありません。
日頃から適度に体を動かし、適応体重の維持や筋力を保つことが大切ですよ。
変形性膝関節症の手術で背負う危険とリハビリの重要性
長年、治療に専念するも効果が得られない場合には、手術を選択肢に考える方もいます。しかし、いざ手術をしようとした時に、さまざまな障壁が待ち受けている場合があります。
変形性膝関節症の手術法とは
まずは、変形性膝関節症に適応される手術法についてです。一般的には、「関節鏡視下手術」「高位脛骨骨切り術」「人工関節置換術」の3種類で、症状の進行度合によって決定されます。
しかし、手術をする方が高齢者の場合は、人工関節置換術が適応されることがほとんどです。人工関節置換術とは、傷んだ膝関節を人工関節に入れ替える手術です。置き換える人工関節は、金属やセラミック製でO脚や膝の変形を改善し、膝の安定を図ります。
手術後に考えられる5つの危険
人工関節置換術を受けると、激しい痛みが解消し、立ち上がりや歩行など不便なく日常生活を送ることが出来るようになります。ただし、正座ができなくなるなど、高齢者にとって不安に感じる以下の危険が存在します。
1.手術から退院までに時間がかかる
手術から退院まではおよそ1ヶ月。さらに、術後の痛みが無くなるまでに数週間〜数ヶ月かかることが予想されます。
2.日常動作が制限される
術後は人工関節の摩耗や破損、膝蓋骨の脱臼をさけるために、膝に負荷のかかる動作や走るといった動作ができなくなります。
3.リハビリが必要になる
人工関節置換術は、リハビリが必要な手術です。筋力トレーニングや可動域訓練など有資格者の指導によって訓練を行います。
4.深部静脈血栓の発生の可能性
術後は、長時間の安静から血流が滞って血栓ができる深部静脈血栓に注意が必要です。
5.肺に現れる合併症
全身麻酔を必要とする手術で、肺の機能が一時的に低下することで引き起こる可能性のある合併症の危険があります。
これらの危険を回避するためには、初期段階から正しいリハビリを行うことが重要です。
改善にはリハビリが重要!
変形性膝関節症には、膝軟骨のすり減りを減らし膝を安定させることが必要です。そのためには、膝を支える筋肉を鍛えることが大切になります。
リハビリによる運動療法は、医師や有資格者の判断によって取り組み、正しいフォームや方法の指導を受けましょう。
まとめ
変形性膝関節症で感じる症状の改善には、初期段階から正しい治療を行うことが大切です。
膝の屈伸運動を制限されてしまう変形性膝関節症では、日常生活において膝を深く曲げたり踏み込む動作を避け、膝に無駄な負担をかけないようにしましょう。
正しいフォームと方法のリハビリが重要で、加齢に伴う体力や筋力低下、術後のリハビリに対して不安を抱えている方は、担当医やリハビリの担当者に相談してみることをおすすめします。