2023.1.24
病気や怪我で長期入院をされていた方は、退院直後が重要な時期だといわれています。退院直後に体力の低下を感じる方が多いからです。
たとえ入院中にリハビリをしていたとしても身体の動かしづらさを感じる方は少なくありません。それを改善するためには、なるべく早くリハビリを始めるほうが良いでしょう。
では、なぜ退院後は身体機能が低下するのでしょうか?また退院後のリハビリの選択肢はどうすればよいのでしょうか?
ここでは退院後のリハビリが必要な理由と、退院後に利用できるリハビリのメリット・デメリットについて解説します。
そもそもなぜ退院後に身体機能が低下してしまうのでしょうか?ここでは、退院後に迅速なリハビリ開始が必要な理由を解説します。
入院中にリハビリを行っていても、退院後に身体機能の低下を感じる理由には「生活混乱期」が深く関わっています。
「生活混乱期」とは、急性期(入院直後)、回復期(入院リハビリ)から続く、退院直後の期間です。本来は回復期の後に生活期となりますが、近年では生活混乱期の存在が考えられています。
回復期とは違い、自宅ではリハビリ設備が整っていません。また、介助者が日常の助けを行ったり、環境の急激な変化や移動距離の低下が引き起こされます。その結果、生活混乱期では身体機能の低下を招きやすくなるのです。
生活混乱期の身体能力低下をできるだけ引き起こさず、安定して生活期に移行するには早急なリハビリ開始が必要になります。
生活混乱期はただでさえ退院後の環境の変化が著しい時期です。介助者側としてもこの期間にリハビリ先を探すのは難しいかもしれません。
実は入院中から退院後のリハビリ先について検討できます。これによってスムーズな生活期リハビリへの移行ができる上、退院してから慌ててリハビリ先を探すということもなくなります。
デイケアセンターや訪問リハビリの中には、入院中から退院後のリハビリについて話し合いができる施設もあります。
退院直後のスムーズなリハビリ移行に役立つだけではありません。入院先のリハビリスタッフと退院後のリハビリスタッフが、症状やリハビリ内容について共有できます。結果として、より綿密なサポートを受けられるのです。
さらに、退院直前に居宅訪問を行い、入院先のスタッフと共に自宅環境を確認することも可能です。退院後のリハビリ先を入院中から探しておくと、生活混乱期の身体能力低下を防ぐことができるでしょう。
参考:回復期リハビリテーション病棟患者の退院後日常生活 活動変化の特徴と関連因子
では、退院後に利用できるリハビリ施設のそれぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。まずはデイケアです。
デイケア(通所リハビリテーション)には、以下のメリットがあります。
施設に通うリハビリのため、自然と外出時間が増え身体を動かす機会も増えます。医師の他にも理学療法士や作業療法士が常駐していることが多いため、運動療法でのリハビリも可能な場合です。
反面、デイケアにもデメリットや不便な点もいくつかあります。
介護保険適用内でも、要介護認定を一定ランクで受けていなければ利用できません。40歳~64歳で要介護認定となった場合でも、指定された特定疾病でなければいけないという制限もあります。介護保険適用となっても、制限があるという点には注意が必要です。
デイケアの最大のメリットは、家族以外とのコミュニケーションを通じたリハビリが可能になる点です。
生活期になると、外出機会が減って家族もしくはケアマネージャーとのコミュニケーションが主になります。しかし、身体機能の回復には心理面も重要です。
デイケアであれば、施設で他の利用者の方とコミュニケーションを取る機会もでき、心身ともに機能回復することが期待できます。
デイケアとは反対に位置するのが訪問リハビリです。ここでは、退院後に行う訪問リハビリのメリット・デメリットについて解説します。
訪問リハビリには、デイケアとは違ったメリットがあります。
デイケアとの最大の違いは、自宅にいながら患者さんに合わせたリハビリプランを立てられるという点です。ご自宅に訪問するため、自宅環境を直接拝見し、環境に合わせたリハビリやアドバイスもできます。
訪問リハビリにも以下のようないくつかのデメリットがあります。
要介護認定された65歳以上の高齢者であれば、基本的に介護保険を適用可能です。しかし、64歳以下の場合は保険適用ができない場合も多くなります。
主にケガなどで入院し、生活期の機能回復を試みる場合です。例えば、要介護認定を受けていない、なおかつ運動機能を取り戻すためのリハビリであれば介護保険適用ができません。
訪問リハビリの大きなメリットの一つとして、主な介護者の日常介護についての指導も可能な点があります。
入院中に介護について説明を受けていても、わからないことやできないことも多いでしょう。訪問リハビリであれば、リハビリ職の担当者が自宅の状況を見ながら介護・介助について直接指導できます。
寝たきりや移動が難しい患者さんであっても、日常介護をよりやりやすくする方法を提案できることが多いです。介護者の助けにもなるという点では非常に助かる場合も多いでしょう。
退院後のリハビリには、デイケアと訪問リハビリという選択肢があります。いずれも入院中から相談し、退院後のリハビリについて話し合うことが可能です。
例えば、日常での移動が難しい場合は訪問リハビリが適しています。歩行ができる範囲まで回復できるのであれば、デイケアで更に機能回復を試みるのも良いでしょう。
患者さんの疾病やリハビリの状況次第で、どちらのリハビリが適しているのかは異なります。これを退院後に探すのは非常に大変です。主治医と相談し、適切なリハビリを入院中から検討できるようにしましょう。
1993年 岩手県盛岡市生まれ。
2015年4月 理学療法士 国家資格取得
2015年4月~2019年 回復期リハビリテーション病院
2020年1月~2022年6月 訪問看護リハビリステーション
2022年7月 自費リハビリ ネクストステップス 設立
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